スティルカメラマンが作る新しいカメラマーケット

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    REDのコンセプトにDSMC(Digital Still Motion Camera)というのがあることは、以前書きました。
    これは、一つのカメラで動画と静止画が撮れるようにする、という考えです。
    以前、REDのTed Schilowitzさんが語っていましたが、RED ONEのユーザーが、撮影した動画の1枚を抜き出して写真として使っているのを見て、このコンセプトをSCARLETとEPICに導入したそうです。
    HDではたかだか200万画素程度ですから、写真として使うのは難しいですが、4Kなら800万画素ありますから、写真として使える可能性が出てきます。
    しかし800万画素でもスティルの世界では十分とは言えません。
    他のメーカーが4Kカメラには4Kセンサーを使うのに対し、REDが5Kの解像度を持つセンサーをEPICやSCARLETに使ったのも、そのようなコンセプトがあったからだそうです。

    ところで、何年も前から、カメラというハードウエアでは、スティルカメラとビデオカメラはいずれ相互乗り入れすると言われていました。
    主に民生用ですが、その頃から、ビデオカメラに静止画撮影機能が付いたり、デジカメに動画撮影機能がついたりしだしたからです。
    どちらのケースも、今となってはあたり前になりましたが、現在の状況を見ると、どうもスティルカメラが優勢になったように見えます。

    プロの世界でも、静止画機能を持つ業務用ビデオカメラは少数ですが、動画機能を持つDSLRは多く使われています。
    その先駆けとなったのが、キヤノンのEOS 5DMK2であることは言うまでもありません。
    5DMK2の登場によって、多くのスティルカメラマンが動画を撮りだしました。
    一例ですが、海外のブライダルビデオ業界について調べた時、欧米をはじめ、香港やシンガポールや、インドでも5DMK2でスティルとビデオを撮るカメラマンが多くいました。
    彼らの多くは、個人でWebサイトを運営しているスティルカメラマンでした。
    それまでの記録映像的なブライダルビデオに代わり、5DMK2でショートムービーのようなビデオを提案したのです。

    スティルカメラマンがビデオの仕事もするようになったのは、ブライダルだけではありません。
    REDのWebサイトには、雑誌の表紙をREDのカメラで撮った記事があります。
    (下の写真は、REDのサイトから転載)

    >



    http://www.red.com/shot-on-red/photography

    表紙のスティルだけ撮るなら、普通のDSLRで撮っても良さそうなものですが、それをSCARLETやEPICで撮っています。
    その理由は、雑誌の記事とWebサイトの動画がリンクさてれおり、その動画も一緒に撮るからです。
    動画を撮るときもスティル撮影の続きで、セットもスティルのものをそのまま使うので、コストが大幅に削減できるそうです。

    このように動画と静止画が融合してきているのは間違いないでしょう。
    ただし、スティルカメラマンが動画に進出しているケースは多いのですが、ビデオカメラマンがスティルに進出しているケースは少ないようです。
    彼らは、当然今まで通りスティルも撮ります。
    そうすると、カメラは、やはりDSLRのカタチをしているのが良いのでしょう。
    そして、今後を考えると、ビデオもしっかり4Kで撮れて、価格は$4,000程度のカメラというのところにマーケットがあるように思われます。
    被写体によっては、35mmフルサイズセンサーで4K動画を撮ることも対象になるでしょう。

    それでは、RED以外のカメラメーカーは、この兆候についてどう考えているのでしょうか?
    5DMK2でこの流れを生み出したキヤノンは、動画機能に軸足を持たせたCINEMA EOSシリーズを発表、発売しました。
    これは、しかし、動画がメインで、スティルはフルHDの解像度止まりです。
    5DMK2の流れはMK3で、ということでしょう。
    MK3はMK2の欠点も改善され、よくできたカメラですが、4Kは撮れません。
    そこで出てきたのが1D Cです。
    DSLRの最高峰1DXのボディに、もちろん静止画機能はそのままに、そして4K動画記録機能を入れてきたのです。
    これはひょっとしたら、DSMCコンセプトに、REDよりも近いカメラかもしれません。
    が、5Dのユーザー層には、まだ高価です。

    ソニーは4月のNABでDSLRの形をしたビデオカメラのプロトタイプを参考出品しました。
    詳細情報はありませんでしたが、形から見ると1D Cの対抗機のように見えます。
    α99に4K記録機能が入っているというコンセプトなら、受けたのではないかと思います。

    ブラックマジックデザインは、$4,000の4Kカメラを発表して話題になりました。
    しかし、残念ながら、これには静止画機能は付いていません。

    そしてREDですが、冒頭に書いたように、DSMCというコンセプトを前面に出して、積極的にスティルとビデオの融合を考えているように見えます。
    ただし、SCARLETにしても、使えるようにするためにはアクセサリーが必要で、全部で$15,000くらいにはなってしまい、まだまだ5Dユーザーのレンジではありません。
    もう一つの問題点は、EPICもSCARLETも静止画機能は、DSLRには程遠い、という点です。
    例えば1秒以上のスローシャッターで撮ることは現在できません。

    5DMK2の置き換えを狙って(狙ってないかもしれませんが)、いろいろなカメラが5DMK2以降に発売されましたが、まだ的を射たモデルが無いように思います。
    それとも、このようなマーケットは小さいと、メーカーは考えているのでしょうか?
    あるいは、安価なカメラを出すと、利益率が悪くなると考えているのでしょうか?
    海外では、DSLRをハッキングしてRAW記録できるようにしている人たちもいるようです。
    意外に早く、”的を射たモデル”が現れるかもしれませんね。
    ただし、既存メーカー以外から、かも。


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