RAW記録について(3)

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    今回は、個人レベルのクリエーターでもRAWが扱える、ということについて書いてみます。

    「RAWはファイルサイズが大きくて、扱いにくいのでしょ」と多くの方から言われます。
    実際、そのように思っておられる方は多いのではないでしょうか。
    では、RAWファイルはどれくらいのファイルサイズなのか、考えてみましょう。
    非圧縮の4K RAWファイルは、いろいろな要素で異なるのですが、約3Gbps程度と考えられます。
    このままでは大きすぎて、取り扱いが大変ですので圧縮します。
    RAWは非圧縮のイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。

    REDの圧縮方式はREDCODEと呼ばれており、記録されたファイルは全てRAWデータで.R3Dという拡張子が付きます。
    REDのカメラでは記録時に圧縮率がカメラのメニューで1/3〜1/18 から選択できます。
    例えば1/3を選ぶと、記録時に作成されるファイルは約1Gbps、1/8だと370Mbps程度ということになります。
    370Gbps程度ですと、ソニーの提唱するXAVCが200Mbps程度であることを考えると、なんとなく手が届きそうです。
    ただ、心配なのは1/8の圧縮って、画質は大丈夫なのでしょうか。

    圧縮するとデジタル信号であってもオリジナル画像に対して劣化が起こります。
    しかし、1/3程度の圧縮であれば、理論的に劣化は起こらない、即ち「可逆(ロスレス)である」と言われています。
    しかし、1/8の圧縮はどうなんでしょうか。

    REDCODEについての説明がREDのサイトにあります。
    参照URLは http://www.red.com/learn/red-101/redcode-file-format です。

     - - - - -
    Just below 3:1 is mathematically lossless, but settings in the range of 5:1 to 8:1 are typically visually lossless and advisable for most usage scenarios. At the same resolution, these settings also require less storage space than the visually lossy ProRes 422 format. Cinematographers for major motion pictures such as The Amazing Spiderman and The Hobbit have therefore been shooting at settings near 5:1.

    3:1以下の圧縮であれば理論的には可逆であると言えるが、5:1や8:1の範囲では実質的には見た目では変わらないので、ほとんどの撮影で問題ないはずである。視覚的にも可逆とはいえないProRes422と比べてみると、同じ解像感の画を記録するなら、(REDCODEのほうが)記録メディアの容量を食わない(ファイルサイズが小さくてすむ)。アメイジングスパイダーマンやホビットといった大作映画でも、それゆえ(画質的には問題ないということで)5:1に近い設定で撮影されている。
     - - - - -

    実際SCARLETのデフォルト設定は1/8ですし、全く問題ない画質といえます。
    もちろん非圧縮や1/3のほうが高画質と言えますが、記録メディアの録画時間や、このファイルを処理するパソコン能力を考えると、1/5や1/8のほうが現実的といえます。
    記録時間を考えても、REDCODEで4K、1/8、24pで記録した場合、64GBのSSDに20分程度記録できることになりますので、これならなんとか実用になります。

    やはりRAWで記録するブラックマジックデザインの4Kカメラは880Mbpsと公表されていますので、このレベルのレートを使わなければいけないのか、との疑問が出てきますが、現実にSCARLET-Xを使用していてREDCODEの1/8でも特に画質の問題は無いと思います。

    では次に、370Mbps程度のレートはどの程度重いのか考えてみます。
    確かにXAVCは4K時、約200Mbpsですので、これと比べるとまだ重いと言わざるを得ません。
    例えばCorei7のMacBook Proでは、XAVCはスムースに再生できますが、REDの1/8のファイルは少しぎこちない動きになってしまいます。
    これでは折角記録できても、スムースな編集するのにワークステーションレベルのPCや専用機が必要になってしまいます。

    しかしREDCODEには、実に都合の良い機能があります。
    「解像度を落として再生できる」のです。
    ここでREDCODEと書いたのは、RAWで記録されても、アプリケーションが対応していなかったり、ファイル自体が対応した圧縮方式で無い場合は上記の機能が使えないからです。
    REDCODEはWavelteという圧縮方式を使用しています。
    これがミソです。
    再度REDのサイトを参照してみましょう。

     - - - - -
    This efficiency is achieved in part because wavelet compression encodes image features at different scales separately. A wavelet file therefore contains a low-resolution base image, plus progressively higher resolution components — all the way up to the final full-resolution image, which is the net combination of all these:

    Waveletは対象のイメージを異なったスケールで別々にエンコードすることにより、部分ごとに実行していく。従ってWaveletのファイルは低解像度の基本イメージと、格段に高解像度の要素を合わせ持って構成されている。そして全ての要素を使うと、フル解像度の画質となる。



    As a result, low-resolution previews can be generated without having to process the entire high-resolution file. For example, a quarter resolution preview could be generated from just the above base image plus the leftmost component. Wavelets therefore make it easier to directly view and edit large videos on desktop computers.

    結果として、高解像度の要素を全て使うことなく、低解像度のプレビューができる。例えば、上の図で言うと、1/4の解像度のプレビュー画は、ベースイメージと一番左の要素(Quarterと書かれているもの)をあわせて作り出すことができる。よって、Waveletのおかげで、(普通の)デスクトップPCでも大きなサイズのファイルを直接再生したり編集したりすることができるようになるのだ。
    (Base以外の画が黒いのは、画像ではなく、解像度の「要素」をあらわしているからです)
     - - - - - -

    言いたいことは、まさに最後の一節です。
    パソコンが貧弱なら、そのパフォーマンスに合わせて解像度を落として再生することができるのです。
    良く見ると、REDCINE-X ProやPremiere Pro CS6(下図)では、下のようなボタンがあります。



    このボタンで解像度が選択できるようになっています。
    もちろんこれは再生時だけのことで、最終的な書き出しはフル解像度のものが使われます。
    撮影時の圧縮率も1/3とか1/8とか使っていたのでややこしいのですが、これらは圧縮率で、再生時に選択する1/4とか1/8は解像度の話です。
    ついでに説明しますと、Premiere Proでは、再生時には解像度が落ちますが、再生を停めたとたんにその位置の画がフル解像度で表示されます。
    停まっているときまで解像度を下げる必要は無いからです。
    従って、カラーグレーディングはフル解像度で行うことができるのです。
    ただし、この状態でグレーディングを行う場合、大きなファイルサイズに反映するため、モニターに結果が表示されるまでちょっとしたタイムラグがあります。

    いかがですか?
    REDCODEは低解像度のプロキシを幾つも持っているのと同じなのです。
    しかも、プロキシを作成する必要はないし、プロキシのためにメディアやストレージを割り当てる必要も無いのです。
    将来パソコンを新調したら、更に高解像度のプレビューがリアルタイムに行えます。
    その場合でも、新たにプロキシを作り直したりすることなく、元ファイルを直接読めばよいのです。

    RAWは大きい、重たいファイルというイメージがあり、大きな制作会社のユーザーでないと使えない、というイメージがありますが、そんなことはありません。
    逆に、低解像度での編集が許される個人ユーザーには、むしろ使いやすい4Kソリューションと言えます。
    もちろん、4Kファイルを書き出すにはCorei7でも20倍近い時間が必要ですし、高価なRED ROCKETを使っても半分程度にしかなりません。
    個人レベルのパソコンでは、そういった制限はありますが、逆に言えば時間さえあれば何とかなります。
    REDが何故このことを積極的に宣伝して個人クリエーターや小規模ユーザーをターゲットに導入を計らないのか、いまひとつ良く分かりませんが、是非SCARLETの下位モデルを商品化して個人ユーザーへの門戸を広げて欲しいものです。


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